パリからの寸評

寸評

「彼女が昨年(2013年)に発表した「踊る天使」では、不安と希望の間の
美しい両義性に注目したが、それは彼女のミステリーの1つに過ぎない
と改めて認識した。

私は彼女の極めて独創的な造形世界は、熱意あふれるイデアリスムと、
精神秩序への懸念の明示と考える。それゆえ、彼女の作品の中に
2つの異なる方針を見ることができる。人間の心理描写と宗教的または
形而上学的なアプローチによる、絶対的普遍性の完全なる調和への
確固たる意欲だ。彼女の作品の造形的密度は、全く以って濃密である。」

これはパリの美術評論家、ロジェ・ブイヨ氏による昨年秋の日仏展、
個展部門での私の寸評です。

とても嬉しかったのは、絵の中の二面性を感じとってもらえたこと。
いつも私は、陰と陽、西洋と東洋、男性性と女性性、善と悪、喜びと悲しみ
etc,etc・・・相反するものを1つの画面に描いてきました。
絵の中で正反対のもののバランスをとる、という作業を無意識のうちに
続けてきた気がします。

それは、きっと一見アンバランスに見えて実は絶妙なバランスで成り立って
いる「美」というものに限りなく魅力を感じているからだと思います。

すぐ変化してしまう、だけど絶対に変わらず、すぐなくなってしまうけど
永遠にある。そんな不確かな確実をこれからも描き続けてゆくのだろうなぁ
と思うのであります。








コメント

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こんにちは! 本場の一流の評論家から、このように丁寧かつ深みのあるコメントをいただけるとは、素晴らしいですね。一枚の絵を通して、感性や思想や、メッセージが伝わること、通じ合えるものが生まれるということに、感動すら憶えます。

下の記事も拝読しました。T.P.O.の幅がとても広そうな、品好い縞ですねぇ。確かに、汗をかく時期や、◯子ちゃんとのお出かけに活躍しそう! 私もおりこうさんな一枚を探したいです。

絵美さま
ありがとうございます。
ロジェ・ブイヨさんの寸評はいつも哲学的で、言葉を
自在に操って、それでいてちゃんと絵を見てくれていて
(つまり、外交辞令的な表面的な批評でなく)作家の
描こうという意欲をかき立ててくれるところが素敵だなと
思います。さすが、芸術に造詣の深いフランスの美術評論家
ですね。

きものの方は◎ですよ。
付下げも凄〜く綺麗なの。今は夏物が充実しているみたい
ですよ。絵美さんもぜひ!

二面性って大事、と思います。
善ばっかりじゃ面白くないもの〜(笑)
酸いも甘いも清濁も併せ持ってる画面が
深いんでしょうねえ。
また夏に某所で拝見出来るのでしょうか?
楽しみであります。

たとえば、私の業界などでは、個展で作品を発表しても
この年齢くらいになっちゃうと、年齢やキャリアよりも作品を俯瞰で見て、
描き手の歩みのその先までも見越してアドバイスをいただけるようなことは
まずめったにあることではないので、ファインアートの世界はそういう奥行きが
羨ましいことだなあと思って拝読しました。
これからも続く道を歩いてゆく励みになる言葉ですね〜。

香子さま
いつ頃からでしょうか、すべての事に相反する二面性があると分かったのは。
それから、納得するようになりました、良いことも悪いことも単なる現象に
すぎないと。良い悪いは人間の勝手な妄想ですね。
そんな気持ちで絵を描いていると「人生そんなに甘くないよ」いう気持ちと
「人生そんなに捨てたもんじゃないよ」という気持ちが絵の中で混ざってゆく
気がします(笑)だから、どちらも楽しまなきゃ・・・って。

tomokoさま
本当におっしゃる通りです。昨年はいろいろあって混乱した状態がそのまま絵に
出ていた感がありますが、それでも何でも描き続けたこと、息切れしながらも
ミニ個展に出品したことなど、頑張った甲斐があったと思います。
それこそこの展覧会には大勢の出品者がいらっしゃるのに、一点一点丁寧に批評
なさるロジェ・ブイヨさんには感激しました。
ちゃんと観ていてくれる人がいるというのは、嬉しいと同時にこちらも魂を込めて
作品を描かなくては、と身が引き締まりました。

素晴らしい 評価ですね。
思いを理解してもらる さらに それを伝えてもらえるということは
そうそう無いことですものね。

ある と ない は二つで一つで、どちらがどちらでもないけれど
それを表現するのは とても難しいことだと感じます。
それとそれを深く感じながら生きるのも なかなか力技かと。
朋百香さんの作品が ますます昇華されんことを、、、。

風子さま
ありがとうございます。
昔、植物画を描いていた時には決まったことを決まったとおりに
描いていました。今はその正反対。何も決まりがないという事は実は
「自由」なようでいて「自由」に囚われているのかもしれません。
そんなジレンマを抱えて今日も紙に向かいます。