思い出

今から35年くらい前のことですが、母があるクリニックに通っていて
待合室であの方と一緒になることがありました。
何度か顔を合わせるうちに、言葉を交わすようになり、ある時
あの方が足を引きずって歩く母に素敵な杖をプレゼントしてくださいました。
ちょっとその辺では見ないお洒落な華奢な杖でした。

母は感激して店に、あの方をご招待しました。
喜んだのは板場です。
任侠映画なんて興味ありませんから、私はあの方のそういう映画を観た
ことがありませんが、板長や板さんたちは、みんな大ファンでした。
寒い中、板場は全員店の外でひと目あの方に会いたいとお帰りになるのを待っていましたっけ。
あの方は誰にたいしても同じように接していました。
そんなところもきっとファンが多い理由の1つなんでしょうね。

母も病状が悪化してそのクリニックには行かなくなりましたが、何度か
お見舞いが届いていたような記憶があります。

あの方の回りでは、そんな事はよくあることなのでしょう。
奢らず、気取らず、さりげなく気配りの出来る方。

高倉健さん、心からご冥福をお祈りします。


紅葉





コメント

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こんにちは。貴重で、心温まる思い出ですね。35年前というと、「幸福の黄色いハンカチ」公開直後くらいだったのでは。ファン層が広がり始めたころでしょうか。
誰に対しても同じように、というのは、スターでも決して偉ぶらない人柄だからこそと思います。私も上の映画くらいしか(しかもTVで父と観た記憶が)知らないのですが、ご冥福をお祈りします。

絵美さま
「幸福の黄色いハンカチ」は私も観ました。
映画ではなく、やっぱりTVで。
任侠映画は知りませんが、晩年の健さんの映画、どれもいい味だして
ますよね〜。稀な俳優さんだったと思います。
もういないと思うと寂しいですねぇ。

たぶん私はこの界隈で(笑)健さんの任侠映画を何本もDVDやビデオで見ている数少ない一人だと思いますが(夫の趣味に付き合ってデス)健さんや藤純子(今は表記違いますね)、池部良、鶴田浩二などが出ているころの任侠映画と同じ893映画でも深作監督の「仁義なき~」シリーズ(こちらはとても最後まで見る気にはなれませんでした)とはまるで違う世界、当時の板さんたちの張り切りぶりが目に浮かびます。

先週も外国の方に健さんの唄った「唐獅子牡丹」の歌詞を示して日本の男の美学を説いてきたところです。
健さんの切ないまでのカッコよさと藤純子のお竜さんの眩いばかりの美しさが鑑賞できる「緋牡丹お竜」作品もお時間あればおススメいたします。

さすがにテレビでは最近の作品しか放送しないでしょうね~。我が家は一時、任侠シリーズにはまって、DVDの宅配サービスに入会しました(^-^;

お母様とそんなエピソードがおありだなんて、、、
誰に対しても同じように接していらした、というところでお人柄が忍ばれますね。
文化勲章を受けられた時の、「日本人に生まれてよかった」との言葉が印象的で、
まさに、大和のくにのもののふだと思いました。
ご冥福をお祈りいたします。

yukikoさま
そうでしたか、映画ご覧になったのですね。
なんかやっぱり任侠はいいかな〜(笑)
ご主人様、お好きなんですね。
うちの主人は海外のギャング映画とか、アメリカのあの中身のないバイオレンス映画
が好きみたい。どうして男の人はああいうの好きなんでしょうねぇ。
晩年の健さんの映画、じっくり観てみたいです。

セージグリーンさま
シャイで奥ゆかしくて、古き良き日本人の典型みたいな方でしたね。
母の杖、大切にとっておけば良かった。
入退院を繰り返したり、引っ越しを何度かするうちに、どこかへ・・・。
今となっては思い出だけです。

!!!!
読んでいて、もしかしてあの方?と期待に胸をわくわく~
やっぱり、と嬉しくなったのでした。
貴重な思い出ですね。
健さんだけでなく、お母様もきっと素敵な方だったんだろうなあ、
と思いました。

sognoさま
はい、母は愚痴を言わない強い人でした。
リュウマチを発症したのは46の時でしたが、それから亡くなるまでの
27年間、痛みと戦いながらの壮絶な人生でした。
今頃になって、母の凄さを思い知る親不孝な私なのでした。
あれ、母の思い出になっちゃった・・・(笑)

訃報以来放送されるいくつもの追悼記事や番組を見ながら、ひょっとしてこの方は、前世にたくさんの人を殺めたか、渡世のよほど修羅な生き方をしていたのでは?・・・と自分の頭の中で勝手な妄想がはじまりました。
もしかして前世でのこの方は、なにかキッカケがあって、心底その生き方が嫌になった瞬間があったのかもしれない、と・・・。
けれども、そう思った時点で人生が終わってしまったのかもしれない。そうして今度生まれ変わってくるとき、自分はかならず違う生き方をしよう!とかたく決意されて、この方は俗世での修行の道に入られたのしれない・・・と想像しました。
だって、はじめっから善人である人間なら、もっと違う生き方をするんじゃないかしらん?・・・自分でわかっている、自分の中にたぎる怒りのようなものといったいどれだけ厳しく激しく対峙してこられたのでしょう?ご自身が語るインタビューを見て、そんな妄想が駆け巡りました。
私の知る庖丁人の方も、ご夫婦で死ぬほどのファンでした(なぜか板場の方々に仰ぎ見られる不思議さ)。ああ、いったい健さんはどうしてそんなに優しいお人だったのでしょうか?

tomokoさま
本当にねぇ。どうして誰に対しても、あんな風に謙虚に親切に出来るのか、
もしかしたら違う一面もあったのでは?と思うのですが、誰の話を聞いても
口をそろえて褒めるのだから、あれが本当の姿なんですねぇ。
tomokoさんの妄想、そうなのかもしれませんね(笑)
自分に厳しいという点では、玉三郎さんとかぶったりもするのですが・・・。

まぁ、ステキなエピソードですね。
俳優さんって役柄のイメージで見てしまうから、強面な方が本当はとてもシャイで笑顔がステキだったりと思わぬ素顔をお持ちだったりすると思いますが、高倉健さんは役者としての顔も普段の顔も変わらない方だったんですね。
そして、菅原文太さんまで。。。合掌

櫻子さま
何か、毎年思うのですが、年の終わりが近くなってくると人が亡くなりますよね。
私だけかな・・・そう思うのって。