厳しい掟

長平庵の軒下と床下に巣を作った日本蜜蜂を見守り続けて
数年たったが、こんなことは初めて。


ミツバチの巣、木の枝

何と分峰した蜂がこともあろうに、木の枝、それもすぐ手が届く
場所に巣を作ってしまった。
しかし、日は当たるし、雨も当たるしで都合が悪かったらしく、
巣は放棄されてしまった。
その木のすぐ下、マンリョウに百匹くらいが固まっていた。

            固まるミツバチ
固まっている蜂達が見えるだろうか?


いったいこれは何事?と、我が日本蜜蜂の師、渡辺先生に
早速ご連絡。
飛んできてくださった先生曰く
「これは、はぐれ蜂ですね」
おお、また新しい言葉だ「はぐれ蜂」
つまり、春の分峰で飛び立った女王蜂や他の蜂達について行けず、
あるいははぐれてしまい、結局元の巣に戻ろうとしたが、1度出た蜂は
巣に入れてもらえず、巣の近くでこうして固まっているという訳。
このままでは生きてゆけず、いずれは死んでしまう運命。

だいたい蜂の世界は女王蜂がすべて。
女王蜂がいなければ、ただの烏合の衆なのだ。

この日、先生から興味深いお話を伺った。
春になると新しい女王蜂が誕生し、古い女王蜂は2から3千の蜂を
従えて新しい場所へと旅立つ。

その時に備えて女王はダイエットして体をスリムにしておく。
なぜかというと誰よりも早く飛ぶ為だ。
この女王に追いついたオス蜂だけが空中で交尾出来るという。
女王は2、3百のオス蜂をあらかじめ生んで育てておく。
オスは交尾の為だけに必要な存在。
交尾出来たオスも出来なかったオスも末路は同じ。
死あるのみだ。

毎年、分峰の頃 巣の前に黒っぽい蜂の死骸がたくさん落ちていて
不思議に思っていたのだが、これは1度は飛び立ったオスが
交尾できなかった、あるいは追いつかず諦めたか、元の巣に
戻ってきたが、やはり中には入れてもらえず、死んでしまった
その残骸という訳だ。

渡辺先生がボソッと一言
「蜂のオスじゃなくて良かった・・・」
笑えない。
厳しい世界だ。

女王蜂は自分の巣のすべてを把握していて、集めた蜜が
少なくて、この冬が越せないと判断すると、働き蜂を噛み殺して
間引きするのだそうだ。
あの「みなしごハッチ」の優しい女王蜂のイメージが音をたてて
崩れた・・・。
自然て残酷なのねぇ・・・。


枝から取った巣
蜂さんの置き土産。
この美しい巣の中には出来たばかりの蜜がトローリと入って
おりました。もちろん、美味しく頂きましたよ、命がけで蜂さんが
集めてきた蜜ですもの、感謝を込めて・・・ね。







コメント

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こんにちは! ふむうこんな淘汰のカタチもあるのですね。
もし、巣がもっと「長持ちしそうな」場所にできていたら、
分かれた100匹はもっと長生きしたのでしょうか?

巣を飛び立つときは文字通り、命がけなんですね。
女王蜂も、もしダイエットできなかったら雄を選べず、
正常な交尾ができないのでしょうね。
蜂でなくて良かった…と私も思います(笑)

絵美さま
いいえ所詮、女王蜂がいなければ100匹に明日はありません。
知れば知る程、凄い世界です。
普通の働き蜂やオス蜂は、何の為に生きているのでしょう? 可哀想。
蜂に感情があったら、反乱起こりますよね(笑)
とは言え、女王には女王の大変さがあるのでしょうが・・・。

どんなプログラムミスからこんなところに巣を作ってしまったのか、
こんなこともあるってところが生きものらしくて、またさらに魅せられます。
子どものときから虫の能力はスゴイと思っていたという山ちゃんは、
来世は虫に生まれかわると云いきってます。
(じゃ私も・・・虫かしら?!ま、それも悪くないですが。。。笑)
31日から岩波ホールではじまる『みつばちの大地』、
もしご都合よろしければご一緒しませんか?
http://www.cine.co.jp/mitsubachi_daichi/

tomokoさま
本当にねぇ、何でこんな所に・・・という場所です。
よっぽど良い住処が見つけられなかったんでしょうねぇ。
いつだったか、ニュースで信号機の所に巣を作って撤去されて
ました。家の換気扇とかね・・・
日本蜜蜂は環境生物なので、蜜蜂が住めなくなってきている事に
人間はもっと危機感を持たなければならないのですが・・・
「みつばちの大地」いいですね、こういう映画が出来て、少しでも
蜜蜂の事を知ってもらえれば嬉しいですね。

はぐれ、と冠する生き物は、悲しい運命が待ち受けていることが多いですが、
リーダー不在の小集団は滅び行くのみなのですね。
種を、一族を維持するために必要な優秀な遺伝子を持つ雄をあらかじめ選別しておくとは、やはり女王の役割は大きいですね。
ほんの一瞬が運命を決めることも、昆虫の世界には少なくないのでしょう。
年々数が減っているミツバチの置き土産のなんと貴重なこと。オブジェとしても
鑑賞に値しますね。

セージグリーンさま
本当に貴重ですよね。でもまだ巣が若かったのか蜂蜜というより
花の蜜そのままみたいな味でした。
まあ考えてみれば、人間界でもリーダーにパワーがないと会社でも
集団でもやっぱり、発展してゆきませんものね。
しかもそのリーダーにモラルがないと、あの韓国のお船みたいな事故に
繋がっちゃうんでしょうね。
「オブジェとして・・・」おっしゃる通り、美しく無駄のない形です。
あの小さな体を駆使して作る素晴らしい巣、これも驚嘆に値しますよね。

自然の摂理とはいえ、、、蜂の世界の掟は厳しいですね。
蜂蜜・・・どんなお味だったのでしょう?ふわふわしている巣、触ってみたい!
今年は我が家には巣がないのです。(夫を責めるわけではないのですが)石ばかりになった庭にそっぽを向いたんだなあと思っています。

とうこさま
そうですか、蜂は敏感だからちょっとした変化でも警戒して
寄ってきませんよね。でも、落ち着いたらまた戻るのでは?
良い環境が少なくなってるみたいですから、ぜひ巣を作らせて
あげてください。