日本の絹

以前、国産の絹しか使わないと拘りをつらぬいてきた伊兵衛織の
工房が国産絹がいよいよ少なくなって、織り手の高齢化も進み
工房をしめる決心をしたと書いた。
逆に平安時代の優美な絹布をめざしているうちに、とうとう
繭まで遡ってしまった。という作家さんもいる。
国産の絹がないなら、自分で納得のゆくものを作ってしまおうという発想。
京都、西陣の織元である勝山織物の勝山健史さんだ。

織りと言うと繊細さよりも、素朴な風合いやしっかり織り込まれた
豪華な帯を想像してしまうが、勝山健史さんのは「繊細な織り帯」
という表現がピッタリだと思う。
その糸の細さ、光によって微妙に変わる色合い、手に取った時の
ビックリする軽さは思わず「おぉっ」と声が出てしまう程。

それもこれも一重に日本の絹に拘って養蚕から手がけ、繭を
貯蔵し、糸をとり、染め、織る、この想像を絶する手間隙かけた
一貫作業のたまものなのだと大きくうなずける。
しかも蚕にストレスを与えない為に渓流近くの風通しの良い
清潔な環境で育て、お蚕さんが食べる桑も有機栽培しているのだとか。
ん〜、ここまで徹底しているのか、と恐れ入ってしまう。


宝飾文、証紙


こんな風に育てられたお蚕さんだから、こ〜んなに美しい糸に
なるのは当たり前な訳だ。
日本人が愛情込めて育んできた絹糸。
人の想いというものは、必ずその作られたものにも伝わり、そして
それを手にした人にも伝わって幸せを運んでくれるものなのだなぁ、
とつくづく感じた。

日本の絹、いつかは廃れてゆく運命なのかもしれない。
それでもこうして何とか繋げてゆこうと努力する人達もいる。
応援したい・・・とても、とても微力ながら・・・。


宝飾文、アップ
勝山健史作「宝飾文」名古屋帯
アンティークブローチを写したというその模様は
和と馴染みながらもモダンさもあり、日常に纏う
美術品のよう。


宝飾文、お太鼓
ピンクとグレーのよろけ縞、伊予縞小紋に合わせて。




コメント

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うわぁ、素敵ステキ、これはすくいでしょうか?
優しいピンクが効いていますね、朋百香さんにお似合いになりそう。
よろけの小紋もどんな感じかしら?
国産の絹は今や数パーセントでしょうか?
でもホントに着心地が良いですよね~
細々とでもこうやって継承、維持していってくれる人のお陰で成り立っている分野ですね。
がんばっていただきたいです。

straycatさま
本当にねぇ。何年か後に年頃になった孫に「この帯はね、
日本で育てたお蚕さんから糸をとって織った帯なのよ。
とっても珍しいものなのよ〜。」と説明している自分の姿が
浮かびます(笑) はたして孫はきもに興味を持ってくれるで
しょうか・・・?

ああ、いい帯ですねえ♪
こういう曲線柄大好きです i-178
大丈夫、きっとお孫さんは着物好きに育つでしょう!
こ〜んなステキなおばあちゃまがいらっしゃるんですもん i-236

香子さま
地色が濃いめのグレーだからでしょうか、優しいピンクが
映えますよね。グレーと言っても、どこかグリーンも感じさせる
本当に絶妙なバランスの色彩なんです。(写真では上手く出ませんが)

実は婿どののお母様も日本舞踊をしてらして、おきものはよく
お召しになるので、○子ちゃん、どちらの婆からもきものの
エッセンスはタップリ吸収することでしょう(フフフ)。

ああ〜なんて麗しいおみ帯・・・。色合いといい着物あわせといい、よくお似合いのことと思いまする〜。○子ちゃんも将来愛してくれるといいですね、両お祖母さまの薫陶の賜物をいただきながら・・・。

国産の絹ですが、みなさん織りや染めや作家さんのことはよくご存知でも、養蚕業でお蚕さんを育てて繭(生糸ではなく)を出荷するときの収入がいったいいかほどのものかは想像が及ばないと思います。私もそうでした。
取材したライターさんなどに聞くと、いまも頑張って生産されている農家はあるんですけど、それこそ雀の涙ほどでしかない収入を聞くと、こちらの涙がこぼれそうになるほどです。これで国産繭がなくならない方がおかしいというのが現実のようでして、頑張っておられる方面もあるのですけども、
http://www.jomo-news.co.jp/ns/series/9413412887584260/kenokuni_detail.html
私のような一消費者は、自分が着ることと着手を一人でも増やすこと以外、
頭を抱えてみても答がみつからないのであります。うう〜ん・・・。

tomokoさま
おお、そうなんですね。記事もありがとうございました。
思ったよりも瀕死の状況のようですね〜。
悲しい現実ですが、tomokoさんがおっしゃるように
私達は一消費者、せいぜいきものを着てこの現実をお知らせ
して、そして見守ってゆくしかありませんねぇ。
国産の繭、本当に世界に誇れるものなのに・・・残念です。

貴重な国産繭による繊細な糸、モダンにも古典的にも見える意匠、ピンクと
グレー、品よく、しかもそれぞれの明度によっては、シックで,,,お召しになったお姿が目に浮かびます。デビューの日が待たれますね。
着る人が減るから、繭を育てる人も途絶える、、、うーむ、どうしたらよいのでしょう?

セージグリーンさま
ピンクとグレーは洋服でも好きな組み合わせです。
もっともピンクのセーターは姉から貰ったのが1枚あるきり
ですが・・・。

「着る人が減るから、繭を育てる人も途絶える・・・」
寂しいけれど、滅びの美でしょうか・・・。
それでも全滅は避けたいものですね。
せめて、私達布好き、きもの好きがせいぜい着ることで
思い出してもらいましょう。「きもの」が日本の民族衣装で
あることを。

こんにちは! 勝山織物さんの帯は実にツウ好みですよね…ぱっと見のデザインももちろん素晴らしいのですが、じーっと近くで見たときとか、触ったときの質感とか、傾けたときの光沢とか……まさに「本物」と思います。
その「本物」を支えているのが日本の絹。ご存知の通り私の故郷、群馬もかつては養蚕が盛んで、富岡製糸工場もありましたし……今も、名だたる作家さんがわざわざ群馬まで出向いて、糸を買っていくと聞いたことはありますが、収入は厳しいようです。

勝山さんの帯、、、素敵。。。ため息が出てしまうほど。。。
東京から絹織物の土地に引っ越した時、向かいのおうちでお蚕さんを育てていました。学校では教室でも飼っていたの。。。今年久しぶりにその近辺に行ったのですが、もうお蚕育てているところも桑畑もありませんでした。
生の絹と精練したものと・・・全く違う表情を出す絹。お蚕さんのおかげで美しさを私たちいただいているのですものね。
何か、協力したいものです。

絵美さま
そうなんです、おっしゃる通り、勝山さんの帯、一見
地味に見えるものでも、ジーッと見ているとじわじわと
布の魅力がしみ出してくる・・・というか。
布フェチにはたまらないですよね(笑)

昔は群馬と言えば、養蚕でしたよね。養蚕業者に国から
援助はないのでしょうか・・・。
以前、久米島では国からの助成金が出ると聞きましたが。
無くなってしまってからでは遅いのにねぇ。

とうこさま
そうですか、向かいのお家で蚕を育てているなんて・・・。
懐かしい羨ましい環境でしたのね。
お蚕さんがシャクシャクと桑の葉を食べる音、好きでした。
(子供達が小学生の時、理科で蚕を育てました・笑)
「何か、協力したいものです」
はい、買ってください、おきものを。そしてどんどん着て
ください。

生糸の輸出がこの国を支えていた時代もあったことを
思うと 今の絶滅寸前の状態は この国の走ってきた方向を表わしているのだろうなあ、と感じます。
もうそろそろ方向転換を って感じている人は多いはずなのに
またどこかおかしな方向へいきそうな昨今 ちょと怖いです。
なあんて、、、

きものと帯 素晴らしい取り合わせ。
↓ のお姿も 都会になじむスタイリッシュな着姿、の頂点の
ような美しさ、です。

風子さま
いろいろな意味で本当にそうですね。
そろそろ行動を起こさないと、本当に日本はダメになってしまう。
儲け主義ではなく、良いものをじっくり手作りしてゆくのが
日本という国の本質ではないのか・・・と、思うのですが。
政治家が一番遅れていますからねぇ・・・。
手に負えない原発をしょって、日本丸はどこへ行くのでしょう?
って、話が変わっちゃいましたね(苦笑)