春の旅人

植物画を描いていた頃は春の草花を描くのが好き
だった。
まだ冬の色をした枯れ草の間から美しい緑色が芽を出し
やがて黄色やピンク、紫色の小花をつける春の草花は
可憐でいて強い生命力を宿している。
地べたにしゃがみ込んで、夢中でスケッチしたものだ。

特に好きなのはスミレ。
「すみれ」という響きのいい、可愛い名前が実は
大工道具の「墨入れ」に由来することを知っている人は
多くはないのではないか。
始めから「すみれ」はこの花だけに付けられた
可愛らしく美しい名前、そう思わせる程 この名は
ピッタリだ。

スミレと一言に言っても何百という種類がある。
よく道ばたや公園の隅に咲いているのはタチツボスミレ、
雑木林で見かけるエイザンスミレやスギ林で多く見られる
ヒナスミレ・・・。
春になると花屋さんで珍しい鉢植えのスミレなども
売られているから、今は都会に居ながらにして山のスミレを
目にする事が出来る。

だが、やっぱりスミレは自然の中でヒッソリと人知れず
咲いているのが一番美しいと思う。


草花

草花を描く時はこうして何種類かを混ぜて描くのが好き
だった。これは庭に咲いた草花達。
黄色の花はキバナノクリンザクラ、水色のは忘れな草の一種。
濃い紫色のスミレは一時、庭でさかんに増えたが
いつの間にか消えてしまった。
花の大きさからして外来種ではないかと思う。

風に乗って種が飛ぶのか見た事もないスミレの一群が広がり
ワーッと喜んだのも束の間、次の年には全く咲かなかったり
するのもスミレの特色。
春の旅人である。




コメント

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こんにちは! すみれ…姿は奥ゆかしいのに、花の色は存在感がありますよね。ふわふわ浮き足立ちそうな春の空気に物憂げな表情にも見えます。この時期、梅だ、桜だ、と上ばかり見がちですが、足元にも目を向けると春をたくさん見つけられるかも、ですね。

絵美さま
そうですね、春の草花は小さいので上ばかり
見ていると気付かないかも・・・
スミレも花が咲いて始めて、ああ、こんな所に
あったんだ、と気付く事がほとんどです。
でも確実に蕾は膨らんで、春も秒読みですね。

こぼれ種で咲いているスミレに出会うとなんか嬉しくなります。
朋百香さんの絵、やさしくて今にも風になびいて香りが・・・
そのまま、帯のお太鼓の絵に・・・なんて贅沢なお願いでしょうか?

とうこさま
残念ながらもう(老眼が進んで・笑)こんな細かい絵は
描けないと思います。
植物画は細密が命ですから茎に生える毛まで描いたもの
でした。昔の絵を見て、我ながら関心します。
目が良かったんですね〜。

なるほど!>次の年には全く咲かなかったり
お向かいのおうちの前庭に時々パラパラとスミレが咲いて、見かけない年は「何故だろう?」と思ってたんです。
あの濃い紫が可憐なのにちょっと妖艶な感じもして、大好きです。
盛り合わせのような絵、日本の春を感じました。

密やかなところもふまえて細密に描いてもらえるって、
植物画もやっぱり愛情の賜物ですね♪
我が家の狭い草むら園の中で種がこぼれたあと、強い風にあおられてそこここの鉢で葉を茂らせるんですが、何故か花があまり咲きませんです。黄色い水仙も。土の性質のせいでしょうが、どうしていいやらよくわからないので、こちらも風まかせにしています。(笑)

りらさま
そうなんですね、3月生まれは気まぐれ、
と言われますが、春に咲くスミレもまた
気まぐれなんですね(笑)
同じスミレでもパリなんかでは、スミレを花束に
してコサージュなんかにすると、また違った風情で
お国柄が出て面白いですね。

tomokoさま
葉は茂るのに花が咲かないのはなぜなんで
しょうね?
日照か土壌でしょうか?
いつか咲くといいですね。

子供が小さい頃、「野の草花」という絵本を愛読してました。
おっしゃるように、コチラの絵の菫は西洋のですね。
日本のは葉っぱが細長かったように思います。
20年くらい前はまだ都内でも日本の菫を見たんですが
今はどうなんでしょう? 最近道ばたをゆっくり見てません (^-^;;

香子さま
そうですね、外来種の方が強いから日本のスミレは
少なくなっているのかもしれません。
でもしたたかですから、ヒッソリ生き残ると思います。
都内でも意外な場所、例えば青山の1本入った裏道なんかに、
へーこんな所にこんな花が・・・なんてことがありますよ。
そんな出会いがあると嬉しくなりますね。