白鳥の恩返し

ー前回の続きー

シドの個展に着ていったきものは、ベージュの紬。
反物で見た時はちょっと薄紫がかったサンドベージュに見えたが
仕立て上がってみると、なぜか優しいピンクを感じさせる甘い
ベージュになっていた。
このきもの、白鳥の羽毛が織り込まれている。

着物白鳥



こんな珍しいものを扱っているのは・・・山本きもの工房さん。
きもの離れが進んでいる今、作り手も切磋琢磨して魅力的なものを
作ろうと日々、努力しているのだ。
単に織りだけでなく染めもかけているので、より奥深い色に
なるのだとか。
織り込まれた羽毛のせいか、染めのせいかは分からないが
光の加減で表情を変える美しい布は、きものとして着て動くことに
よって完成されるのだ。

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きもの友達とこの反物を見つけた時、白鳥の羽毛が織り込まれて
いると聞いて「鶴の恩返し」ならぬ「白鳥の恩返しね!」と
大いに盛り上がったが、私の頭にはその時、別の事がよぎっていた。

タロットの「拾七番絵札 ハタ」の事を思い出していたのだ。
ハタは秦氏のハタであり機織りのハタでもある。
ちょうどそれを描き始めたのが七夕だったこともあり、大空を
雄大に流れる天の川、それを挟んで織り姫と彦星。
そして湖畔で機織りをする娘の姿を描いた。
始めからそうしようと思った訳ではないが、娘の袂が羽の様に・・・
そう、娘は鳥の化身であったのかもしれない。


タロット、ハタ



きっと、あの娘が織ったのはこんな布だったに違いない。
そう思えて、どうしてもその反物が欲しくなり後日、山本さんに
お願いしてしまった。
何と言う妄想の極み。

だが、こうして実際にきものに手を通してみると、何かとっても
しっくりくるものがあった。
もちろんタロットの中の娘は実在しない。
でも日本人が昔から精魂込めて織ってきた布、そこには何百年という
時を越えて受け継がれてきた精神性みたいなものが連綿と続いている
気がする。

私はこのタロットに今の日本人が忘れつつある「日本人の美徳」を
思い出してほしいという願いを込めている。
きっと、この布に携わった人達も何かそういった想いを込めている
のではないか?
そんな「想い」が共鳴して、このきものが私の元に来てくれたのでは
ないか・・・と、勝手な想像に夢ふくらませてしまうのだ。

相変わらず、飽きれたモウソウオバサンだが、モウソウは楽し。
白鳥を助けた覚えはないが、「白鳥の恩返し」を纏って足取りも
軽く、この師走を乗り切りませう。


お太鼓西陣

合わせた帯は西陣の名古屋帯。
西陣というと、金糸銀糸が思い浮かぶが
こちらも時代に合わせて進化している。
長く締められそうな渋い帯。




コメント

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あー・・・。こんなベージュが欲しいーー!!と、画面見ながら叫んでいました。もちろん、その人、その人のお顔の彩度によるのかと思うのですが、ベージュって色々な色味があって、とても難しいし、選ぶのに悩む色だと思います。でも、唯一無二のベージュに出会うと、その人の雰囲気を包み込んでくれると思うのです。朋百香さんと、このお着物はほんとベストマッチですね。
白鳥の羽が織り込まれているから、艶が違うのでしょうか?
帯も、シックで、、、ロックオンです。

こんにちは! 「白鳥の恩返し」にはそんなストーリーがあったのですね。それはもう、朋百香さんと出合うべくして出合ったというしかないですネ☆
確かに私も、工房で見たときはどちらかといえばベージュに見えたような…。仕立て上がり後の優しいピンクは、「もらってくれてありがとう」という白鳥さんの御礼の気持ちなのかも知れませんね。

白鳥の羽毛ですか!
胸元の画像を拝見すると、ふぅわりとした質感があるのにスッキリ見えてとても素敵ですねぇ。
そしてそして、朋百香さんの小物の色使い!いつも絶妙でグッときます~。

ハタの織姫さん、小さな画像でも必死で機を織っているように見えます。

りらさま
ありがとうございます。
ほんと、珍しいですよね〜。こんなきものに出会うとは思いも
しませんでした。
なんで白鳥の羽毛を織り込もうと思ったのか、織った人に
聞いてみたいです。

絵美さま
そうでしょ?ベージュに見えましたよね。
仕立て上がりで色が変わって見えるなんてこと、
あるんですかね?
織りの色というのは、奥深いです。
ニュアンス・カラーとでも言いたくなる微妙な色合い、
今度ぜひ実物見てください。

とうこさま
おっしゃる通り、ベージュは難しいです。
先に書いたように反物で見た時と仕立て上がりがこんなに
違うきものは初めてです。
そこがまた面白いところなのでしょうが、失敗する可能性も
ありますから・・・。
でも今回は大成功で嬉しいです。

白鳥の恩返しもですが、下世話なワタシは
「ライトダウンだわ、軽くて温かそう♪」と
思ってしまいました (^-^;;
ぜんまいの綿毛を織り込んだ物とかありますが
羽毛をすき込むって作家さんの発想がスゴいですね。

香子さま
アハハ、確かにライトダウンですね。
でも多分、全面に入っている訳ではないので他の紬より
よりあたたかか?っていうと・・・別に変わらないと思います。
おっしゃる通り、発想のユニークさですよね。
お気に入りの1枚になったことは言うまでもありません。

朋百香さま、

すてきなピンクベージュの紬ですね。 風合いがとても優しく、柔らかい雰囲気が出ているのは羽が織り込まれているからなのですね。 それを着てくださることが何よりの織り手の方への恩返しでしょうか・・・。
また、その帯がピッタリです。素敵! シャープなイメージの朋百香さんによくお似合いです。

ルリ子さま
ありがとうございます。
シャープが好きな私ですが、来年は少し「女らしく」して
みようか・・・と思います(笑)