優雅に泳ぐ

アトリエの床の間にお軸ではなく額を飾ってみた。
これは墨と和紙に嵌り始めた初期の作品で「水の記憶」

お軸を意識したという訳でもないのだが縦長なので、
床の間にも合うのではないか・・・と。

まだいきなり抽象画にいけなかった頃で抽象と具象の
融合とでも言おうか、それでも白い和紙の上に墨を
すべらすのが楽しくて時間も忘れて描いた。

墨の黒は絵の具と違って暖かみがあるので好きだ。
光源氏の鈍色とでも言おうか・・・。
日本では弔いの後も喪に服すという習わしがあった。
光源氏も葵の上が亡くなってその悲しみを鈍色の衣を
纏って表した。
しかし、そこはさすが光源氏。
その鈍色の直衣の下には紅花で染められた輝くような
赤を着ていた。
その麗しさは、貴公子然としている、という紫式部の
描写がある。

そんな鈍色の墨の中を泳ぐ黒い鯉は、見え難いけれど確かな
存在感を持って優雅に泳ぐ。
鈍色には「優雅」がよく似合う気がする。

この作品で初めて和紙をしわくちゃにして和紙に貼ってみた。
立体感が出て面白い効果が出せたと思う。

試行錯誤するのは苦しくて楽しい。
そして楽しくて苦しい。
その繰り返し。


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活けたのは紫陽花。
今年、関東は雨が少なくて
紫陽花には可哀想な梅雨だ。



「水の記憶」をご覧になりたい方はホームページの
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 朋百香・ホームページ






コメント

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面白い・・・・・
渋い絵と手前の鮮やかな紫陽花がしっくり馴染んで、一つの絵のようにも見えますねぇ。

りらさま
ありがとうございます。いつもはお軸に和花を活けるのですが、今回初めて額に
洋花という型破りをやってみました。
花瓶も大理石で思いっきり「洋」ですが、渋い色なので意外とあうのではないかと
思います。日本人の生活が今や和洋折衷ですから、たまにはこんな設えも・・・。

こんにちは! 「水の記憶」ギャラリーのページで拝見しました。一瞬上がった青い水しぶきは、鯉によって川面をたたえる水とは別の生命体を与えられたみたい。
活けられた紫陽花も、本来の丸い葉っぱは隠されて、すっとした鋭い葉との共演で、現実世界と一線を画したかのようなシュールで美しい姿ですね。

絵美さま
さーすが、文才のある方が表現すると違いますね。

紫陽花も今や少ない雨に立ち枯れ状態です。
これが最後の美しい姿でした。
すっとした葉はススキです。今年は妙に株が大きくなって、凄いことになってます。
こうして間引くことも、庭には必要なことなのですね。

実は、私も先日床の間に額絵を飾ってみました。(私の場合はお軸がないからですが)朋百香さんの絵とお花の組み合わせ。早速明日帰ったら、葉物をいけてみます。
ギャラリーで改めて拝見し、水のしぶきと、鯉の鱗が静と動のように対比しつつリンクしていて・・・。ボキャが少なくてすみません。素敵だったと言いたいのです。前でじっと座って眺めていたい感じでした。

オンブルパルフェさま
ありがとうございます。おっしゃる通り、この絵で静と動を表現したかったのかも
しれません。
床の間って小さい空間ですが、設えの仕方は無限大ですよね。
西洋問わなければ、なおのこと。
これからもまた、いろいろチャレンジしてみたいと思います。