魅惑の紫

庭のジャーマンアイリスが咲きはじめた。
こちらに越してきてすぐに植えたものだ。
あれからもう15年の歳月がたつ。
最初に植えた根茎はいくつだったか?
今では増えて大株となっている。
さして手入れもいらず、花後にお礼肥さえしておけば
翌年には必ず花を咲かせてくれる。


120508_085506[1]
和っぽい紫のジャーマンアイリス

松の近くなので華やかな色よりも落ち着いた紫を選んだ。
それは見事に調和して、昔からそこにあったかのように
5月の庭を彩る。
薫風の頃は、あやめ科の花がその美しさを競う。

あやめ科と言えばカキツバタもそう。
尾形光琳の「燕子花図屏風」のあの青の美しさは一度
見たら忘れられない。
染色家の吉岡幸雄氏が、あの青は天然岩絵の具の紺青で
描かれたものだろうと言っていた。

アズライト(藍銅鉱)を砕いて微細な粉にした青色の顔料の
群青、その中でも特に色が濃く結晶した紫がかった顔料が
紺青である。
昔も今も とても高価なものだ。
尾形光琳が、あの気品のある、それでいて鮮やかな青を出す為に
ふんだんに紺青を使ったのも成る程、うなずける。

以前、植物画を描く時に「紫」というのはもっとも難しい色で
自然界のあの透明感のある紫を出す為に随分と苦労したもの
だった。
紫は赤と青を混ぜて作るのだが、絵具は混ぜると濁るという
性質がある。
オペラという発色の良いピンクを下に塗って、その上から青を
かけたり、インクの青を使ってみたり試行錯誤の積み重ねだった。
結局は自分の思うような紫にはならなかった事を懐かしく
思い出す。
赤から青の間で それだけ紫というのはミステリアスな色なのだ。
だからこそ今もなお惹かれる色なのかもしれない。


120509_091404[1]
こちらは、三寸あやめ。
花径5センチくらいの可愛い花を付ける。






コメント

非公開コメント

ジャーマンアイリス

こんばんは。ジャーマンアイリス、我が家はまだ蕾です。
光琳の青は本当に引き込まれそうな感じがします。
紫好きにとっては、(といっても、好きな紫と苦手な紫があります)色のお話、楽しく読ませていただきました。コチニールから染めた紫が好きです。

オンブルパルフェさま
おお、オンブルパルフェさんとは「紫友達」ですね。
コチニ―ルが好きという事は赤系の紫がお好きなのですね?
和名で言えば「江戸紫」とか「菖蒲色」(しょうぶと書いてあやめ色と読むのはなぜでしょう・・・)といったところでしょうか? 洋服ではなかなか全身紫はきついですが、きものだと紫の色無地を着ても派手にはならないので不思議です。

紫の色はムズカシイですよね。私が愛用している透明水彩(Winsor&Newtonです)でも、紫がホントに安定しなくてムズカシ~!
それにしましても、あやめが咲くお庭もまた羨ましい限りデス。

tomokoさま
ウインザーニュートン、懐かしい響きです。
植物画を描いていた頃、私もよく使っていましたよ。

そう、紫って同じ色は二度と作れない(笑)です。
な~んか微妙に違っちゃうんですよね。他の色はあんまりそういう事はないのに・・・。不思議な色です。

こんにちは! ジャーマンアイリスは確か佐藤節子先生が好きなお花で、長野の方に見に行くのが楽しみとおっしゃっていました。
話は変わりますが、下の記事を拝読してナニワイバラの名前を知ることができ、感謝しています! 近所で満開になっており、ステキだなと思いつつ名前を訊き損ねていたので…。何とも優雅な白いお花、好きです。

絵美さま
そうですか、お役にたてて良かったです。
原種の大輪の白いバラ、しかも一重というのが和な感じもしていいですよね。香りもいいんですよ。ただ残念なことに花期が短いですし、花びらが散るとお掃除が大変(笑)