和紙に墨

タロットの小アルカナカードをデザインしている内に
とうとう和紙と墨にゆきついた。
そして、嵌まってしまった。
なんともシンプルで、美しい世界。

今までのように「この紙に、この絵具をぬればこうなる」という
計画的なことはたてられない。
見事に私の予測を(良い意味で)裏切って、和紙と墨は まるで
自分の意思があるかのように動きはじめる。

墨は和紙の上で跳ねる、沁みる、垂れる、滲む、濃くなり薄くなる。
その変化は どれも美しい。
和紙もその存在だけですでに温かみがあるが、破けば切れ目に
独特の表情が出るし、クチャクチャにすれば味わいぶかい皺が出来る。

つまり、これらの要素をいくらでも掛け合わせて、そこに自分の世界を
作れるということだ。

もう、子供がおもちゃ箱を与えられた状態。
頭の中には常に「和紙と墨」がある。
空を流れてゆく雲、壁に写る草木の影、枝にとまるカラス、
何を見ても これを和紙と墨で描いたらどんな風になるのだろう・・・と
思ってしまう。
これは長年、絵を描いてきて久々に味わう新鮮な衝動だ。

毎年、秋に行われるパリの展覧会には「水の記憶」という作品を出展する
予定(ホームページのトップに載せました)
洋紙と和紙、絵具と墨、抽象と具象、陰と陽、いろいろな正反対のものを
この一枚に繋いでみた。
描いているときは楽しいのだが、こうして作品になると やはり人の目に
どう写るのか気になってくる。

娘からは「ん~、面白いけど まだ、ためらっている感じがする。もっと、
自分が出せるはず」と、言われた。
するどい。
ただ描いている時は、何ーにも考えずに流れに任せて描けるのだが、
展覧会に出す、とかなると ためらいや緊張が出てしまう。
「良く見られたい」というイヤラシサも。

これらの枠を取っ払って、ドーンと自分をぶつけられるようになるまで、
試行錯誤は、続くのだろう。
まだまだ私の「和紙に墨」の世界は、始まったばかりだ。


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コメント

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和紙と墨って、お互いに切っても切れないほど(?)本当に相性が良いですよね~!
私もむかし水墨画を習ったりお習字しながら、いろいろ和紙を遊びました。画を描くなら、私の好みの第一はドーサ引きの麻紙でした。結局そこから今の英国製透明水彩と英国製水彩紙に落ち着きましたけども~。
トップページの絵、拝見しました!いろいろ遊びながらの試行錯誤が続き、これからどんな風にすいれんさんの世界が広がっていくのか楽しみです!

tomokoさま
そーですか、水墨画をやってらしたのですね~。素敵。 麻紙、いいですよね、私は「雲肌麻紙」というネーミングにも惹かれます。これからどこへいくのか、自分でも楽しみです。結局、予測不可能なのが、好きなんですね(笑)

こんにちは! 墨ってモノトーンなのに、何でこんなに暖かみがあるのかなあって思うことがあります。お習字でも、絵でも、墨を使う人の思いがこもるからかしら・・・。

>展覧会に出す、とかなるとためらいや緊張
わかります・・・気負いというのでしょうか。
私も仕事で文章を書いていて、心からの言葉が出てこないことに今、苦しんでいます。私の場合は理論や約束事に縛られすぎて、本当に書きたいことがうまく表現できない苦しさですが・・・。

絵美さま
何にでも、作りだす時の生みの苦しみってありますよね。でも、生まれ出た時の喜びもひとしおですが・・・。

「気負い」そうです。その言葉がピッタリかも。気負わずに描けたらいいものが出来るのにな~。取りあえず、瞑想します。