一番の謎

ヤン・リーピンの「蔵謎」(クラナゾ)を見てきた。
きものを着てお出掛けしたのは、一か月ぶりだ。
あの地震の日、帰宅難民になったトラウマから なかなかきものを
着る気分にならなかった。(あんな時、きものを着ていたら
どうなるのか・・・と)
だが、ご一緒したのが、きもの友達であり、さくらも満開に近い
ことだし、さくらの大島紬に一度は手を通さねば、と意を決した。

「蔵謎」は巡礼に出た老婆が旅を通してチベットの人々の深い信仰心を
各地の少数民族の歌や踊りで表現した物語。
過酷な自然環境の中で暮らす人々にとって、生と死は常に隣り合わせ。
パンフレットに書いてあった「死は生を写し出す鏡」ということばが
妙に心に響いた。

豊かさと繁栄にどっぷり浸かった日本人にとって今回の災害はまさに天啓。
自然の大きな力の前では、いとも簡単にすべてが奪い去られる。
形あるものに幸せを求めていたら、それを失った時の空虚感は大きい。
本当の幸せとは いったい何なのか?と、考えさせられた。

厳しい環境、抑圧された歴史のチベットであるからこそ信仰に希望を
みいだすのは自然なことかもしれない。
人は昔から歌い、踊り、神に祈った。
それが人の原点だとしたらチベットの人達は、まさにその原点の人達だ。
便利さを追求せず、すべてを受け入れ、手の中にある幸せに感謝する生き方に
感動を覚えた。
日本人も昔はそうだった筈。
どこから変わっていってしまったのか・・・。

印象に残ったのは遊牧民の男たちが六弦琴を弾きながら歌い、勇壮に踊る
ダンスと「祭の席で女は長い筒状の袖をたおやかに揺らし、男は袖を
大きく振ることで自己の魅力を表現し、お互いの愛情を伝え合う」長袖舞。
どちらもパワフルで素朴でおおらかだ。
そしてヤン・リーピンの「菩薩の舞」は別格。
人の動きとは思えなかった。

ところで、今回の公演の芸術監督、構成、主演をつとめるヤン・リーピンと
いう人、彼女も少数民族ぺー族出身ということだが、年齢不詳。
不思議な存在で私には彼女が一番「謎」だった。

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「蔵謎」とは「チベットの謎」を
意味する。

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ご一緒したお二人。
絵美さんは、さくらの小紋。
知子さんは、さくらの帯。

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私はさくらの大島紬。
帯はさくら色の上原美智子氏の
透かし吉野織り。

コメント

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先日はありがとうございました! 日本がこのような状況の中ということもあり、命についてはからずも考えさせられました。次の世代のために祈る、というのも・・・。
ヤンリーピンの舞はさすがでしたね。もう少し長く見ていたかったです。

絵美さんのところから飛んできました。
三人三様の、素敵な桜の装いで、つい黙っておられずコメントさせていただきました。

絵美さま

こちらこそ、ありがとうございました。
ヤン・リーピン、軟体動物みたいでした。あ、これ褒めてないか(笑)

絵美さんのおきもの、本当に春らしくて見ているこちらも楽しくなります。帯揚げともピッタリでしたね~。

Miwakoさま
ご訪問、ありがとうございます。
この日は花曇りでしたが、皆のさくらづくしで、まわりがほんのり桜色に染まるようでした。こんな状況ではありますが、春は楽しみたいです。でも、あっという間にさくらは終わってしまうので、このきものも、また来年、でしょうか・・・。

すいれん様、
こんにちは、はじめまして。 絵美さんのブログで拝見させていただいております。

 Tomokoさん、絵美さん、すいれんさん3人のそれぞれの桜、素敵ですね。 日本の美と風流を感じさせてくれます。 

先だってはお誘いいただいてありがとうございました!!この舞台、見ておいてとてもよかったです。自分にはとても書けないんですけど、すいれんさんの文章に記されているようなことに同感です。
三者三様の桜、着物って本当に似合い方がそれぞれ個性が出て面白かったですね!来年はもっと活かしたいものだと思いました。

ルリ子さま
ご訪問、ありがとうございます。
きもの好きにとっても、たまらない桜の季節。実は長襦袢もさくらの花びらが舞っているのです。人には見えないけど、自分では、ウキウキしてます。隠れたおしゃれも、またきものの醍醐味ですよね。

tomokoさま
そう言って頂けると嬉しいです。
私も見たことがなかったので、どんなものかと・・・。確かにおっしゃる通り、タイムリーでしたね。 民族衣装も見ていて楽しかったです。アジアの布って、やっぱり惹かれます。