してくれなかった病

若い友人が、ある夜 電話してきた。
彼氏と旅行してた事を知っていた私は「どう、楽しかった?」と聞いた。
すると彼女は「大喧嘩しちゃったんです」と言う。
それから彼女はダーッと、彼があれもしてくれなかった、
これもしてくれなかった。
私は宿のことも、食事のことも全部、彼に合わせて我慢したのに。
と、訴えた。

一通り、聞いてから私は彼女に質問した。
「それじゃ、今回の旅行は ちっとも楽しくなかったのね?」
「え・・・、それは・・・」彼女は言葉をつまらせた。

「彼があなたの為に会社を休んで旅行に誘ってくれたことも、
行きも帰りも、ずっと運転してくれたことも、
それって、すべて{ありがとう}なんじゃないのかしらね」

そこで彼女はハッと気付いたらしい。
彼女の良いところは、素直なところだ。
「私って、イヤな女でした」
彼女はそそくさと、電話をきった。
彼に「ごめんね、ありがとう」と、言う為に。

私も人ごとだから、偉そうにそんな事を言ったが子供の頃には
かなり重症の「してくれない病」だった。
商売屋だったので、母はいつも忙しく、誕生日もクリスマスも
なかった。ずーっと、母を恨んでいた気がする。

だが、今思えば普通の子供が出来なかった経験をいろいろとさせて
もらった。京都に店の器を買いに行った。
板前さんの料理を、食べていた。
学校から帰ると店の人達(板前の見習いや仲居さん達)が、
遊んでくれた。
親戚に画家の伯父さんがいて、絵を習わせてくれた。贅沢にも
店のお座敷で。

そんな事に感謝もしないで、うちは普通の親じゃなかった、と不満に
思っていた自分が恥ずかしい。

人は「不満」にフォーカスし易いらしい。
あの時、ああしてくれなかった、こうしてくれなかった。
あそこが痛い、気分が悪い。今日は寒いだ、暑いだのと、本当に
文句が多い生きものだ。

ちょっと見方を変えてみたら、マイナスと思うことの陰にプラスが
隠れていたりするものだ。
厳しい冬があるからこそ、春の到来が嬉しい。
自分が痛い思いをするから、人の痛みが分かるようになる。

物事は表裏一体。
そしてその良い方に、フォーカスするクセをつけた方が良い。
その方が自分が気持ち良いし、ひいては人生を豊かにしてくれるのでは
ないだろうか。



110216_094517[1]
明日はお雛様。
文章にはぜんぜん関係ないけど
古いお雛様を載せてみました。

コメント

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まったく同感でございます~。その若いお友達は、気がつくいいキッカケをいただいたかもしれませんね。

お雛さま、とても麗しい様子にうかがえます~。冠の細工の見事そうなコト!!

こんにちは! 「してくれなかった病」は相手への依存の裏返しなんだと思います。だから子どもが親に対して思うのはいいけど・・・。うちも昔は「夫ならこうしてくれるはず」「妻なら・・・」と思い込んでいて、些細なことでケンカしていたなあ。

tomokoさま
人の振り見て・・・ではありませんが、私も思い出しました、もっとも身近な夫への感謝。あんまり近いと、つい忘れがちで。

このお雛様は、ずーーーっと長平庵にあります。主人によると、義母や妹のものではないというのですが、まぁ男の人の言うことは、あてになりませんね。何にしても、最近飾るようになったので、たぶん喜んでくれているのでは・・・?

絵美さま
私もそーでした。随分、夫に期待して裏切られました(笑) でも、夫たるもの、妻たるものはこうあるべき、なんて定義はないんですよね。「これだけしてあげてるんだから、こうしてくれるべき」なんてのは、奢りですよね。そう思うと、よくこんな生意気な女と結婚してくれたな~と、思います。奇特な人ですね。

お雛さまもいろいろな想い抱えて佇んでいらっしゃるのでしょうか
高貴な方にはまたそれなりの悩みが・・・

見事な冠 細工が細やかですね~e-266

此処2ヶ月ほど ダーさまへ感謝・感謝でしたが
治りかけてきましたら 「あら・・・ 〇〇してくれない・・・」と時々
2ヶ月も辛抱強く 怪我をした妻に付き合ってくれたのですから
そう思うのは優しさに慣れたせいだわ・・・と反省しておりますぅ

sachikoさま
本当に慣れとは恐ろしいもので、夫婦は特にしてくれて当たり前になってしまいますよね。気をつけねば・・・。でも、sachikoさんのご主人さまは、本当にお優しい方ですね。

この病は、しつこい病原菌の様になかなか完治するまでには、大変です。私も気をつけなければ・・・

みっちゃんへ
アハハ、病原菌はよかったですね。はたして今世で完治するのやら・・・?