「上布」

ただ漠然と、きものが好き・・・と、思っていた私がいろいろと、きものを見るうちに
自分が強く惹かれるのは織りのきものだと気付いた。
だが、憧れの宮古上布や八重山上布といった美しい布が、みな人頭税と呼ばれる過酷な
税制度によって生まれたものであると最近になって知った。
人頭税とは数え年15から50歳の男女すべてに頭割りで課せられる税の事で、男は
粟、女は上布が上納品だった。女たちは自宅での作業は許されず昼でも南国の日射しを
通さぬ薄暗い小屋で監督役の村吏の目を恐れながら黙々と糸を績み織っていたと
伝えられている。

人頭税が廃止されてまだ100年しかたっていないという事実が、ちょうど長平庵が
築100年くらいである事と重なって、身近な事のように感じられると同時にショック
でもあった。あのはかなげで繊細な美しい布には辛い人生を生きた女性たちの魂までもが
織り込まれているようで、もしかしたら そんな何かを知らず知らずのうちに感じて
惹かれていたのかもしれない。今ではもう、織手も高齢になり、だんだん少なくなって
きているらしい。

長平庵の襖は芭蕉布で出来ている。
芭蕉布というのは芭蕉という植物の繊維で織った淡茶無地又は濃茶絣の布。
沖縄および奄美諸島の特産。夏のきものや帯、座布団地などに作るが、襖はめずらしいと
いわれた。
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