タロット「イド」

拾参番絵札、イドが完成したのは一昨年の暮れ。
西洋タロットでは「死神」にあたる。
たかがカードの絵じゃない、と言われるかもしれないが、やはり
「死」がテーマともなると、なかなか重い。
案の定、このカードは描き直した。
苦労した思い出深いカードとなった。

このカードには誕生秘話がある。
私がどうしても仕上げられずに困っていた時、ある女性と映画を
見にいった。
彼女は友人だが看護師さんをしていて忙しく、休みも不定期なので
なかなか会えない。
たまたまこの日は、ラッキーだった。

食事をしながら彼女はこんな話をしてくれた。
「私が担当する患者さんが、皆な亡くなるんですよね」
彼女の口調は静かだが、しっかりとしていた。
「私、本当に悩んだんです。自分のせいじゃないかって・・・」
それで彼女は思いあまって、ある人に相談したのだと言う。
ある人とは、いわゆる霊能者みたいな人ではないだろうか。

その人曰く、それが彼女の今世での「お役」なのだそうだ。
つまり、彼女がお世話する患者さんが亡くなるのではなくて、死が
決まっている人が彼女に最期を託したくて自然と寄ってくることに
なるらしい。
不思議な話だが、ご本人はとても腑に落ちたらしい。
「そうか、それなら精一杯、最期の日まで患者さんのお世話を
しよう」
それから彼女は明るく前向きに、仕事と向き合えるようになったそうだ。

この話を聞いて私も救われた。
人は死に恐怖心を持つが、間違いなくいつかは訪れる。
それだけはみごとに平等だ。

私は自分の描いた死神に敬意を払った。
死神も神様だ。亡くなる人をお迎えにきてくださるのは、彼(彼女?)の
立派なお仕事。
人から嫌われる仕事を毎日、もくもくとなさるその孤独を 少しだけ
感じて、私はその額に美しい飾りをつけた。
すると、死神の表情が柔らかくなったような気がした。

ミケさんのプロットでは「イド」は冥土に続く井戸でもあり、六道輪廻の
天界、地上界、地獄界の縦の動きを表わすことにかけて緯度でもある。
そして人は死んで終わりではない。
再生のシンボルである蝶を飛ばせた。
死と再生は、人類の永遠のテーマ。
私くらいの歳になると、間違いなく自分の死に向かって日々、歩いていると
確信する。
残りの時間を自分らしく、自分のお役をまっとうして生ききりたいものだ。

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コメント

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その看護師さんのお役目のお話、とてもわかる気がします。物事には必ずもう一方の面があって、辛いと思っていたコトも、実はとてもありがたいコトだったりしますもんね。生と死も別の面から見ればつねに表裏一体なんだろうなと思っています。
タロット、いつも描くテーマと身近に起きる出来事がリンクしてますね。それって、すいれんさんにもお役目があるから、なのかもしれませんね。面白いなあ~!

tomokoさま
どうなんでしょう・・・?でも本当にその時、描いているカードと身の周りで起こる事がリンクすること多いです。だからタロットって凄いなって。潜在意識のカードですよね、間違いなく。完成して実際に使うのが楽しみです。

イド

最近、親しい人があちらの世界へ旅立ちました。今回の人生を見事に生きて卒業されたと
思いました。彼女が亡くなる前に4人の人が訪ねて来たと言っていたそうです。勿論、誰もいませんでした。「お迎えが来る」とは本当のことなのだと思います。忌み嫌われがちな「死神」ですが、次の生への橋渡しとして
働かれているのかも知れませんね。私もいつ「お迎え」が来てもいいように、今日も精いっぱい過ごします。

みっちゃんへ
本当に。 「死」を遠いことの様に考えていますが、もしかすると、それは明日かもしれない。と、思うと今日を精一杯、生きるしかありませんね。