FC2ブログ

マダムX

私の一番好きな絵は「リリー、リリー、カ―ネイション、ローズ」
だと言うと きもの友達のR子さんがメールで画像を送ってくれた。


age[4]11tate[1]_convert_20120423180142[1]


そうそうこの絵です。R子さんありがとう!
この絵の作者はジョン・シンガ―・サージェント。

学生時代にこの絵を見て目が釘付けになった。
昼と夜の間の曖昧な時間、少女達が提灯に灯りを灯している。
夕闇迫る中、ボーっと光る提灯は何とも神秘的で不思議だ。
ユリやバラの香りが絵からむせ返ってくるよう。
10代だった私は、この頃のヨーロッパ画壇に影響を与えていた
ジャポニズムの事など露知らず、ここに描かれているユリが
日本から輸出した山百合であることも後で知った。
全く何も知らぬままに、ただただこの絵の持つ雰囲気に惹かれた。

サージェントの他の作品を見てもこれ程惹かれるものはない。
だが、代表作と言われている「マダムX]は、その作品というより
その作品にまつわる逸話に興味が湧いてしまう。
その絵の婦人が人妻であるのにあまりに官能的であった為、
スキャンダルになってしまったのだ。

画家にとって絵は言葉に等しい。
いや時には言葉よりももっと雄弁に描き手の心をさらけ出して
しまったりする。

むか~し昔のことだが、片想いの人がいた。
その想いを本人に告げることなく絵に込めて描いた。
その後、個展に来てくれた彼がその絵の前で
「この絵が一番好きだ」と、言ってくれたのを聞いた時に
心の深い深いところの塊が溶けて、解放されてゆくのを感じた。
魂のレベルで想いが伝わったのを感じた。
もう、それで十分だった・・・。

どんな絵にも物語がある。
表面に現れていないかもしれないが描き手の深層がどこかに
垣間見えたりするものだ。
見る側はそこに何かを感じて共感するのだろうか?

その絵を見る度に彼の事を思い出すが、今はそれよりも
その時の自分の情熱を懐かしく思う。
想いもまた 風化してゆくものなのだな・・・。