「plan75]と「心に太陽を持て」

先日、「plan75」という映画をAmazonプライムで観ました。
監督:早川千絵
「75歳以上の人が自らの生死を選択出来る制度が施行された
近未来の日本を舞台に、その制度に翻弄される人々を描いた
映画」(解説より)

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題名からしてショックでした。
限りなく75に近づいてゆく自分と重ね合わせずにはいられなかった
からです。

国民的マドンナの あのサクラさん(虎さんの妹のサクラです)が
見事なお婆さんっぷりでした。
女優さんて勇気があるなー。

最近、友人が孫を2人預かって(2人とも男の子です)腰を痛めてしまい、
治るまで結構時間がかかりました。
別の友人は昨年末 大腿骨を骨折し、今年になってやっと退院。
今はリハビリ中です。
そういう私も新しい靴で歩き回って右足首を痛めてしまい、すぐに
やめれば良かったのになんとか履き慣らしたくて、無理した為(バカ
ですねー)痛みが長引いてしまいました。

と、いろいろと老いを身近に感じるこの頃です。
老いを身近に感じれば将来について不安になるのは当たり前の事です。
ですが、ふと思いました。
未来をあれやこれや案じるのはやめようと。

この映画はいろいろ問題提起してくれますが、観るこちら側の取り方で
どの様にも解釈できると思いました。
死を考える事は、どのように生きてゆくか、という事でもあるのですね。
どうなるか分からない未来のことより、自分が今をどう生きてゆきたいか?
それに尽きると思います。


いつも心が折れそうな時に読む詩があります。
最後にそれをシェアしたいと思います。

心に太陽を持て
嵐が吹こうが 雪が降ろうが
天には雲 地には争いが絶えなかろうが
心に太陽を持て
そうすりゃ何が来ようと平気じゃないか
どんなに暗い日だって  それが明るくしてくれる

唇に歌を持て
ほがらかな調子で 日々の苦労に よしや心配が絶えなくても
唇に歌を持て
そうすりゃ何が来ようと平気じゃないか
どんなに寂しい日だって それが元気にしてくれる

他人のためにも言葉を持て
なやみ苦しんでいる他人のためにも
そうして何でこんなに朗らかでいられるのか
それをこう話してやるのだ

唇に歌を持て 勇気を失うな 心に太陽を持て
そうすりゃ何だって 吹っ飛んでしまう

(これはドイツの詩人、ツェーザル・フライスレンの詩に
 山本有三さんが訳を付けたものですが、今は改訂版も
 出ているようです)

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ラスト ディール

久しぶりに心に沁みる映画を観ました。

主人公は老美術商のオラヴィ。
ハイテクな機器などとは無縁の昔ながらの商売をする彼が、ある日
オークションで見つけた作品。
その絵に作者のサインがない為、埋もれてしまった名作です。

主人公と疎遠になっていた娘、その息子(彼にとっては孫)との家族の
絆が丁寧に静かに描かれているのが印象に残りました。
家族との和解は出来るのか?
その絵に作者はなぜサインをしなかったのか?
様々な疑問を包括して物語は進んで行きます。

いつの間にか、それぞれの登場人物に感情移入しながらも、絵の作者が
サインしなかった理由が明かされた時、目頭が熱くなりました。
いえ、本当はそんな言葉では言い表せないもっと深いところから
湧き上がってくる感情、とでも言いましょうか。
それは私も絵を描く人間だからでしょうか?
それとも人として誰もが感じることなのでしょうか?

舞台はフィンランドのヘルシンキ。
街並みも綺麗だし、何より空気感が良かった。
カメラワークも素晴らしかったです。
モニターに映るギャラリーの様子やバスの窓ガラスに映った街並みが
中の主人公と重なって、とても凝った撮り方だと思いました。

Amazonプライム 「ラスト ディール」美術商と名前を失くした肖像
2018年 フィンランド作品、監督:クラウス ハロ

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「サラバ!上、下巻」読了

どうしてこの本を読もうかと思ったかというと
ラジオの対談で阿川佐和子さんと西加奈子さん(作者)の
やりとりが面白かったのと「僕はこの世界に、左足から登場した」
と言う最初の一文にやられてしまったからです。

それだけで、この一冊300ページ以上の大作(それも上下巻)を
買ってしまいました。
私の読書時間はナイトキャップがわりの眠る前の30〜40分
(時には1時間くらい)なので、読み終わるまでに時間がかかって
しまいました。
それでも内容の面白さと、家族というテーマがどうしても
読まずにはいられなかった。

誰でも「家族」という問題は多かれ少なかれ抱えていますよね。
私は生まれ育った環境が複雑だった(両親がそれぞれに連子をしての
再婚)ので、子供の頃はこの本の主人公のように大人の顔色を
伺う子でした。
だから彼(主人公)に容易く感情移入できたのかもしれません。

主人公が生まれたイラン・テヘランや育った大阪、エジプトの
描写が素晴らしくて(特にナイル川の)凄いなぁと思ったら
作者自身がそうだったのですね。
ここはかなり、ご自分の経験が生かされているのだろうと思いました。

本を読んで泣いたのは何年(いや、何十年?)ぶりでしょう?
そうなんです、後半は泣けました。
感動の涙だったのか・・・自分の家族とオーバーラップしたのか?
おそらく、そのどちらもなんでしょうねぇ。
もう私の両親はいませんが、彼らは彼らの人生を懸命に生き抜いたの
だなぁと(あれだけ確執があった父なのに)なんだか少し
愛おしさも混ざった気持ちで思い出していました。
時間というのは不思議なもので、若い頃はあれだけ反発したのに
今は自分が歳をとったせいなのか、あの時の親の気持ちというものを
少しは理解出来たように思います。
そんな気持ちにさせてくれた本でした。

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コリーニ事件

アマゾンプライムにお薦めされて観てしまった映画は
あまりに重くて、タイムリーで、「ぜひ観て」と軽く言えるような
映画ではないので、ブログに載せるかも躊躇しましたが、
今、このタイミングだからこそ観るべきなのかなぁ、とも思えました。

だっていつもだったら、あ〜昔、こんな事もあったよね。酷い時代だったよね。
と言っていたでしょう。
でも、今 現実に起きていることを考えると昔話ではすみません。
ひょっとしたら、今の若い人たちは「こんな歴史」を知らないのかもしれない。
だからやっぱり、こういう映画は作られ続けなければいけない。

2020年にドイツで公開されて、ヒットした映画だそうです。
監督は、マルコ・クロイツバイトナー。
主演はエリアス・ムバレク(弁護士に成り立ての熱血弁護士、なかなか良い演技でした)
私達世代には懐かしいフランコ・ネロ。(このネロさんのいぶし銀の演技が
良いんです。)

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法廷シーンも丁寧に描かれていてリーガル映画としても一級だと思います。
外国の法廷って、興味深いですね〜。

ネタバレするから何も書けませんが、戦争の落とす影は何十年経っても消えない、と
言うことと、加害者も被害書も(その家族も)結局は不幸になる、という当たり前の
結論(なのに、なぜ人間は戦争を起こし続けるのだろう?)

「死者は報復を望まない」と言うコリーニの最後の言葉が、胸に沁みました。

そうなんです。多分、死者は残していった家族の幸せを願っているはず。
報復するのは、生きている私達側(残された側)の問題なんですね。
残された側、やられた側のこのやり場のない感情をどうすれば良いのでしょう?
それが見つからない限り、この世界から「戦う」という行為はなくならないのでしょうか?




66歳なんて まだまだ小娘だ!

佐藤愛子さんの「戦いすんで日が暮れて」を読んだのは
何十年前だったか・・・(遠い目)
そしてとうとう「九十八歳。戦いやまず日はくれず」が出版されました。
これで断筆だそうです。
本当かな?(笑)

小気味好い、豪快な愛子節は、いつも私に勇気と元気をくれます。
「九十歳。何がめでたい」「毎日が天中殺」小説よりも、エッセイが
好きです。

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好きだな〜、豪放磊落。
少々落ち込んでも、佐藤愛子さんの本を読むと、アハハと笑って
「小さい、小さい」と自分に言ってやります。

先日も心配事と仕事が重なり、そんな時、夫の外出に付き添って
支えて歩いたら、その夜 腰が怪しいことになり「お、このままではまずい」
(ギックリ腰になる)と頭の中で警報がなったので、翌日すぐ鍼治療に
行きました。
行動が早かったので何とかことなきを得ましたが、痩せたばーさんが
76キロのじーさんを支えるのは無理があるなぁ、と考えさせられました。

先を考えれば不安材料満載ですが、それでも日々、生活してゆかねば
ならない。
老人に勇気と知恵は必須ですね。そして、何事も笑い飛ばすユーモアも。

そんな時の心の特効薬が佐藤愛子さんのご本です。
そうだ、私なんて(彼女に比べたら)まだ小娘だ頑張ろう!と思います。
100%は頑張れないから、それなりにね。

それにしても 何とかじーさんをもう少し痩せさせなきゃ。
でもねぇ、今のあの人には食べることと競馬(即パット)しか楽しみが
ないからねー。
そして優しい妻(私のことです)は、夫のために今日も美味しい手料理を
作ってしまうのでありました。

プロフィール

朋百香(tomoko)

Author:朋百香(tomoko)
1955年埼玉県生まれ東京育ち。
幼少時から学生時代は、水彩、
油絵を学び、結婚後は子育てを
経てのち植物画に魅了され、
個展やグループ展にて発表。
イギリスのフィンドホーンへ
の旅をきっかけに自己の内的
プロセスを描写する、様々な
素材を用いた独自のミクスト
メディア作品制作に入る。
現在は和紙に墨、アクリルで
墨アートを表現している。
神奈川県在住。

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