帯のデザイン・その2

2度目の試し織り作品を持って、織り姫・吉田美保子さんが
おいでになりました。

鱗紋帯、二度目の試作
平置きしているので、色が薄く感じますが、立てるともっと色が
前に出てきます。これも織りの不思議なところですね。

写真を載せてはみたものの、織りの素晴らしさは写真では伝わりません。

正直なところ、織り(ブラッシングという技法も使っているそうです)でここまで
忠実に原画を再現してくださるとは思っていませんでしたので、感動です。

お話を伺っていると私が何気なく墨の加減で濃くしたり、薄くしたりしている
ところを吉田さんは経糸、緯糸で織り方を調節したり、糸の太さを変えて
変化をつけ、バランスをとっているのです。

同じ糸で色だけ変えても平面的な仕上がりになってしまうであろう事は
素人の私にも想像はつくのですが、ではどの様に表情をつけるのか?
これはちょっと私には分かりません。

この糸を2本取りにして・・・とか、ここは節のある糸で・・・とか
それはそれは細かく考えていらっしゃるのです。

鱗紋帯、二度目の試作、お太鼓部分
お太鼓に出るのはこの辺り。
ともするとキツくなってしまう三角も、織りのたおやかさで良い風情。

「ああ、吉田さんにお願いして良かった!」と思ったのは、彼女はたぶん
無意識のうちに、私の中にある「何か」を感じとって、私が原画の中には
使っていない色を縞の中に入れてくださったこと。
それによって、ただ「男前」だったこの帯に品の良い優しさが加わりました。
織り姫の感というのか、長年の経験からか原画に忠実でありながら、
美しい化学変化をおこしてくれました。

これこそ私が一番最初に思った「描いた絵を織って布にしたらどうなるんだろう?」
という素朴な疑問と好奇心の答えです。
しかもそれは期待以上でした。

絵はマットですが、織りは光の当たり方で陰影が出来るし、そこに布の(糸の?)
持つ力強さと繊細さが混在し生まれ出る奇跡にも似た実証。
それがこの帯です。美しい。やっぱり織りは美しい(布好きにはたまらない)。
これは間違いなく、私を守ってくれる帯だと思いました。

さて、綿密な打ち合わせを経て試し織りは終了。
いよいよ本番の織りに入ります。

<つづく>


帯のデザイン・その1

今日の長平庵のお客様は「染織・吉田」の吉田美保子さん。
昨年から、私のデザインした帯を吉田さんに織って頂くという
試みが始まっております。

柄は龍神様にあやかって、鱗紋と決めておりました。
が、いつも締めている帯なのにデザインとなると、何も分かっていない私。
始めの頃は間延びした下絵を描いていました。

帯のデザイン2


2枚目がこれ
帯のデザイン画
吉田さんに帯のだいたいのサイズと位置を聞いて右横に
書いています。お太鼓の上、中、下。一番下の墨黒の部分がタレ。


三角というのが、もしかしたら織るのが難しいのでは?と
四角も描いてみましたが、
帯のデザイン3
「平凡でつまらない」と夫に言われて却下。


そして最終的に完成したのがこちら
帯のデザイン4
鱗の間に縞なども入れてモダンさを出してみました。

最初のから見てくると洗練された感じですね。

そして第1回目の試し織りが完成しました。

試し織りと原画

右がデザイン画、左が試し織りの布です。
お太鼓の大きさの枠にはめて見たところです。

写真では分かり難いですが、私が金色銀色を使ったところや
グレーやグレージュを使ったところなど、色のニュアンスを
うまく拾って平織り、綾織り、経糸緯糸の色を変えるなど
いろいろな手法を駆使して織られた布の美しいこと。
九寸帯をお願いしたので、絹糸も細く繊細で八寸帯とは
また違った表情です。

吉田さんからお太鼓は上部から真ん中にかけてがポイントと
教えて頂き、なるほど限られたあの面積の中でも強弱や色彩の
濃度が重要になってくるのだなとお勉強になりました。


この日は色彩の調整や金銀の位置、私が「地味派手が好き」であること
などをお伝えし、吉田さんからはポイントとなる部分の三角を微妙に
大きくしてはどうか?などの提案も取り入れて次なる試し織りをお願い
することとなりました。

当たり前のことですが絵と織りでは、その質感が全く違って、糸が変わる
ことで出来るゆらぎのようなオウトツや陰影、光沢、そのどれもが美しく
織りの世界の奥深さに心打たれました。

そして吉田さんの拘りに、真摯に織りにむかうプロ魂を感じて、こちらも
グッと身が引き締まる思いでした。


吉田さんのH.Pはこちら。この帯の制作過程については「someoriノート」(ブログ)
に書かれています。
染織・吉田


<つづく>



この日のきものは
琉球絣とグンボウ帯
琉球絣にグンボウの帯。
南の島の織物同士は相性がいいです。

グンボウ帯、お太鼓
お太鼓




池田重子展

お友達とこんな展覧会に行ってまいりました。

池田重子展

池田重子さんって横浜出身だったのですね、知りませんでした。
「横浜で育った私は京都のはんなりよりも粋な感じの江戸趣味を
好みます」と生前おっしゃっていたように、池田コレクションは
確かに装いに池田さんならではの「きっぱり」したところがあって
独特の美意識を感じます。

私的には帯と帯留めにうっとり。
「あー、この帯欲しい!」というのが、何本かありましたし、帯留めも
「今はこういうのないよね〜」というアンティークの素敵なのがいっぱい。
帯留めも凝り出したらきっと大変なことになるんだろうな〜などと
思いながら見ていたら、帯留めを入れる漆のお箱が・・・あー、やっぱり
素敵な帯留めはこういう入れ物に入れるのよねー。と、我が家のネットで
買ったアクリルケースを思い浮かべながら、ため息が出るのでした。

「池田重子・横浜スタイル展」は、横浜そごう美術館で来年1月8日まで。


ご一緒してくださったのは、きもの友、岡田知子さん。
岡田さん、前
グレーの結城紬に藍の帯。

岡田さん、帯前
臙脂の帯締めが効いていますね。
帯飾りは雪だるま君。



私は
八丈織り着物前
八丈織(まるまなこ)のきものに、勝山健史作「衣笠間道」の帯。
帯揚げは鉄御納戸色、帯締めは白練。

そしてこの日デビューのsakurako さんの帯飾り「クリスタルスカル」
sakurako 作クリスタルスカル
スカルの表情がちょっと「おとぼけ」で可愛いでしょ!


八丈織りのきものに、勝山健史帯
お太鼓


おまけ
私、全身
会場入口でニッと笑うの図






着付け教室の成果はいかに?

あれから初めてです。
あれからと言うのは、小林着付け教室からの事です。
早く練習しなくては、と思いつつも時間がとれず。
その日、急遽近くの街まで行く用事が出来、別にきもので行く
必要もなかったのですが、ここで着ないとまた着ないまま日々が
過ぎていってしまうと慌てて仕度をしました。

前日から用意していた訳ではないので、きものも帯も簞笥からスッと
出し易いもので。

小杉行き2
黒の大島に大月俊幸氏の綾織りの名古屋帯
帯揚げは浅黄色、帯締めは御召御納戸色。
帯飾り、sakurako さんの蜘蛛さん。

長襦袢は教えて頂いたとおりに着れました。
それだけでも、襟元すっきりで、気持ち良かったです。
着物はもう少し、伸縮包帯を付ける場所が下の方が良かったかも。
やっぱりいろいろやってみないと、これも慣れですね。

時間がなくて、練習というにはあまり考える暇がなく、こうだったか?
ああだったか?と思いながらもザックリだったので、自分的には70点
くらいかな。

でも、裾さばきが良くて歩きやすかったのです。
それは、裾除けを胸の所迄上げているから。
これもビックリの小林マジックでした。
この方が胸元がキレイになるんです。
つまりお風呂から出てバスタオルを巻くでしょ? アレ状態です(笑)
裾除けをこんな風に使うとは思いもしなかった。
そりゃ足さばきが良い訳だ。膝から下は襦袢ときものだけなんだから。
え?寒くないかって? まだ平気ですね。
真冬になったら膝下ストッキングでも履きますか。

小杉行き3
昼間は暖かかったのですが、夕方になるとやっぱり風が冷たいので
羽織りは必要です。
羽織り、英さん。羽織紐、sakurako さん。


小林先生は補正にお腹にタオルなど巻きませんが(タオルをお腹に巻くのは
森田流です)私の場合、タオルを巻いた方がいいかもと思いました。
それに慣れているというのもあるのですが、帯と身体の間にワンクッション
ある方が好きかな・・・。
まあ、この辺はいろいろ試してみた方が良いと思いました。きものによっても
違うかもしれませんし。
お友達のK子さんは3人の先生の「いいとこ取り」と言っていました。
そうです。あくまでも自分に一番合った着方、それを模索するしかありません。
習うより慣れろ、という言葉がありますが本当にそうですね。
自分の身体と相談しながら、地道に日々努力です。

小杉行き1
お太鼓







着方は生き方に通ず

先日、長平庵で「小林着付け教室」をいたしました。

小林先生
着物スタイリスト、小林布未子先生
ご覧ください、先生のこの「自由」な着方
もはや携帯までもが帯飾り!
帯揚げに見えているのは「その辺にあった布」なのだとか。

とかく着付け教室などで着方を習うと皆さん、判で押したように右に
習えしますが、一人一人骨格も体型も雰囲気も違う。

先生曰く「お教室どおりにすることは、ないんです」
「自分がどう着たいか?、どう見せたいか?」

ガツンときましたねぇ、このお言葉。
私には「自分がどう生きたいか?」と言われたように聞こえました。


小林着付けグッズ
特別なものは何も使いません。
先生が100均で買ってきてくださった「滑り止め」や「伸縮包帯」
「厚紙」「クリップ」など。

そうだ! きものだって自分の着たい様に着ればいいんだ。
六十路を過ぎてやっと、それに気付くなんて(ていうか、今迄考えたことも
なかった・笑)
いえいえ、まだまだ遅くはありません。
ここで出会ったが私のタイミング。
小林メソッドをよーく咀嚼し、自分なりに消化してゆけば良いのだ。


お端折の始末、小林先生
見よ、この驚きの胸元スッキリ!
小林方式で着るとまるで、襦袢もきものもストレッチになったみたいに
身体にフィットします。写真はお端折の始末をする先生の図。

この日は生まれて初めての「銀座結び」に
銀座結び

皆様から「新鮮!」と言われました。
この日は万筋の江戸小紋を着ていたのですが、江戸小紋は「男」ですよね、
もともと武家の裃からきているのですから。
帯に多少の女色も入っているのですが綾織りでカチッとした感じ。
陰陽のバランスを考えて、銀座結びにして女らしさを出した訳です。
こういうバランスも大事だとおしゃっていました。

使った紐はきものの打ち合わせの1本だけ。
身体に余計な負担はかけません。なのに着崩れない。
まさにマジックです。

なにより凄いのは先生のパワー!
私よりお姉様なんですが、約3時間立ちっぱなし、話しっぱなし。
お疲れのご様子もなく。
これの前に1つ着付け教室をやってらしたそうですから、もう何も
言えません。先生、そのパワーの秘訣、教えてください。

気さくでチャーミングな小林先生、すっかりファンになりました。


小林先生、絵美さん、私
左からライターの絵美さん、先生、私

美保子さん、先生、岡田さん
染織家の吉田美保子さん、先生、イラストレーターの岡田知子さん

皆様、お越し頂いた時よりもぐっとバージョンアップ。
きっとそれぞれこれから取り入れるところ、自分流のところ、試行錯誤
なさってご自分のものにしてゆく事でしょう。

先生、ありがとうございました。
皆様、ありがとうございました。


皆様の感想はそれぞれのブログで

絵美さんブログ「えみごのみ」


岡田知子さんブログ「丘の上から通信」


吉田美保子のsome ori ノート」